『しゃべれどもしゃべれども』

佐藤多佳子 著 書店にて620円

映画化された旨の宣伝帯を腰にまとった姿で、登場人物のうち誰がクローズアップされるか
ある意味でばればれなのです。
それでも登場人物ひとりひとりがしっかりと生きていて、生活感もありました。

二つ目という中途半端な立場にいる落語家志望の主人公は、とにかく口が早い、
一言多いタイプ。
対照的にしゃべるのが大の苦手のイトコに付き合ううちに、
なぜか自宅で落語教室を開く羽目になります。
集まったのは喋らない・協調性がない・それぞれに過去を背負った四人。

一言多い主人公のせっかちな性格に親近感を持てて一気に読めました。
勧善懲悪というには悪人はいないのだけれど、ある意味で典型的なストーリーだから
筋はほとんど読めてしまうと思います。
それでも魅力的なのは、落語教室=話し方教室に通う四人のつらさを丹念に描いているから。
しゃべるのが下手だったり、ちょっと恥ずかしがりだったり方言を馬鹿にされたり、
いまは萎縮している人たちが自信をつけていく成長譚でした。

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あんた、泣く夢を見たことはないか?(中略)泣く理由はわからない。
ただ、なんだか、おいおいと際限なく泣く。それが無性に気持ちがいい。(中略)
ただ、何かがこみあげてきて、それをひたすら吐き出して、さっぱりしているんだ。
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この気持ち、よくわかります。
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by karadanokoe | 2007-08-16 19:05 | 立ちよみ時どき座りよみ
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